「もう一度、笑いたい」と言った彼女の言葉
皆さん、こんにちは。
相談員のMです。
ご相談に来られた40代の女性。
最初にお会いしたときは、淡々とお話しされる中、深い疲れが滲んでおられたのが印象的でした。
「夫の浮気がほぼ確信に変わっていて、でも何もできずにいます」
彼女は、スマホの通知の頻度、帰宅時間の遅れ、目線の変化など、日々の小さな違和感を見逃さずに感じ取っていました。
それでも明確な証拠がないため、ただ苦しむ毎日を過ごしていたのです。
「証拠を取っても、離婚するとは限らない。でも、このまま笑えない毎日は嫌なんです」
私はこの言葉に、彼女の本当の願いが込められていると感じました。
“別れるため”ではなく、“立ち止まっている自分にけりをつける為”に、事実を知ろうとしている。
そんな思いに応えるべく、私は焦らせることなく、じっくりと話を伺い、どんな未来を望んでいるのかを一緒に整理しました。
調査は、依頼者様のご協力もあり、怪しい日程を確定させる手法で数週間にわたって進められ、決定的な証拠が得られました。
ラブホテルへの出入り、勤務時間中の密会、手をつないで歩く姿。どれも彼女が抱いていた不安を裏付けるものでした。
報告書を手にした彼女は、静かにページをめくりながら、「本当に辛い。でも、ちゃんと知れてよかった」と話されました。
その目には涙が浮かんでいましたが、同時にどこか晴れやかな表情も見えました。
その後、夫と話し合いの場を設けた彼女は、「もう一度だけやり直したい」と決断されました。
調査の証拠は、離婚や対決のためだけに使うものではありません。
事実を知ったうえで、どう生きるかを選ぶ。
その選択に寄り添うことこそ、私たち相談員の本当の役割だと改めて実感しました。
「もう一度、心から笑いたい」
そう話されていた依頼者様が見せてくれた柔らかな笑顔。心からの笑顔ではないかもしれませんが、嬉しかったことを覚えています。
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