「調査員に必要な資質」とは何か
皆さん、こんにちは。
統括部長のTです。
探偵という仕事に求められる“資質”とは何か。
新人を育てる立場として、私自身よく考えるテーマです。
普通の考え方からすると、観察力や撮影技術、尾行のスキルなどが重要と思われがちです。
もちろんそれらは必要不可欠ですが、それ以上に大切なのは「忍耐力」「冷静さ」、そして「人としての倫理観」だと私は考えています。
調査現場では、長時間にわたって対象者を張り込むことも珍しくありません。
真夏の車内、真冬の路上、雨の日も風の日も、ひたすら動かない対象者を見守り続ける——
そんな地味で過酷な状況でも、集中力を切らさず任務を全うする忍耐力が必要です。
また、対象者が突然動き出した際、尾行を開始する判断、距離を保つ技術、周囲の状況把握といった判断を“瞬時”に下さなければなりません。
その時、冷静さを欠けば、すべての努力が水の泡となります。
さらに忘れてはならないのが、調査員としての倫理観です。
たとえば、依頼者の期待に応えたい一心で、調査の目的を逸脱する行動を取ってしまえば、それは信頼を損ねることになります。
「この情報は本当に依頼者のためになるか?」
「ここまで追うことが必要か?」
その判断ができるかどうかが、調査員として成熟しているかどうかの分かれ目です。
そして、チームで動く調査の場合、連携力も重要です。
無線でのやり取り、役割分担、情報の共有。
一人ひとりが自分の仕事をきっちりこなすと同時に、全体の動きも意識する必要があります。
加えて、感情を制御する力も求められます。
対象者が心ない行動をしていたり、依頼者が傷つく場面を目にしたとき、怒りや同情が湧くのは自然なことです。
けれど、私たちは「第三者」であることを忘れてはいけません。
その感情を表に出さず、冷静に記録し、正確に報告する。
それがプロの仕事です。
調査員に必要なのは、ただ「追える」だけの人材ではありません。
人としての在り方、責任感、そして誠実さが備わってこそ、本当に信頼される調査員になれるのだと思います。
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