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調査中に「撮らない判断」をする瞬間

皆さんこんにちは。調査員Nです。

 

探偵と聞くと、「カメラ片手に証拠を押さえる人」というイメージを持たれる方も多いと思います。

 

たしかに、証拠を撮ることは調査の大きな目的ですが、現場では逆に「撮らない」という判断をすることもあります。

 

ある日の調査中、対象者が小さな子どもと一緒に公園を歩いている場面に出くわしました。

依頼者は不貞の事実を確認したいという意向であり、子どもに関する情報は調査対象ではありませんでした。

 

私はそのとき、撮影を控えました。

理由は明確で、「今回の目的には必要ないから」です。

 

撮影できるからといって、すべてを記録すれば良いわけではありません。

対象者にも生活があり、家族があり、無関係な人間まで巻き込んでしまえば、それは調査ではなく“干渉”になってしまいます。

 

また、別の調査では、対象者が夜の飲食店に立ち寄った場面で、他の同席者が一般客であると判断し、店内での撮影は最小限にとどめました。

 

プライバシーの保護は、法律だけでなく、私たちの良心でもあると感じています。

依頼者の中には、「できる限り細かく記録してほしい」と希望される方もいらっしゃいます。

そのお気持ちはよく分かりますし、調査の精度を高めたいという期待でもあるでしょう。

しかし、そのすべてに応えることが、必ずしも依頼者のためになるとは限りません。

 

調査中の判断は、瞬間の連続です。

「今撮るべきか、後に回すべきか」「これは記録に残すべきか、それとも省くべきか」

この繊細な判断こそが、調査員の技量だと私は考えています。

 

撮らない判断が正解だったと確信するのは、報告書を提出した後、依頼者が「ここまでで十分です」と言ってくださったときです。

それは、信頼を得られた証でもありますし、“必要なものを、必要なだけ届けられた”という実感でもあります。

 

調査には「見抜く力」も大切ですが、それと同じくらい「見逃す力」も必要です。

何を選び、何を削るか。その積み重ねが、信頼される報告書をつくる礎になります。

 

カメラのシャッターを押すかどうか——

その選択に、私たち調査員の“まごころ”が問われていると、私は常に思っています。

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