「調査って、ばれないんですか？」
これは相談の中でよく聞かれる質問のひとつです。

私たち調査員にとっては、「ばれないように調査する」ことは当然の前提であり、そのための準備と判断に日々細心の注意を払っています。

まず、対象者に気づかれないようにするためには、事前準備がすべてと言っても過言ではありません。

対象者の生活パターン、移動手段、出入りする場所の特徴、時間帯による周囲の人の流れなどを徹底的に把握します。
これによって、どこで張り込むか、どの角度から撮影するか、何名体制で行うかといった計画が決まってきます。

張り込み時には、地域に溶け込むことが大切です。
住宅街であれば新聞配達員や清掃員のように見える装いを選び、繁華街では通行人に紛れる立ち位置や動きをとります。

とにかく「そこにいることが不自然ではない」状態をつくるのが基本です。

尾行中も同様です。
対象者との距離感、交通状況、周囲の人の目線までを計算しながら移動します。
ときには車両を使い、ときには複数名で交代しながら追尾することで、単独では難しい状況にも対応します。

あるケースでは、対象者が非常に警戒心の強い方で、何度も振り返る様子がありました。
そのたびに、私たちはさりげなく方向転換をしたり、歩行者を利用して視線を外すなどの工夫を重ねました。

結果として、対象者に不安を抱かせることなく、証拠を押さえることに成功しました。

「ばれない調査」は、“うまく隠れる”というよりも、“自然に存在する”という感覚に近いかもしれません。

調査員としてそこにいても誰も気に留めない、そんな空気をまとう技術が求められます。

また、仮に調査中に対象者が予定外の行動を取った場合でも、焦らず冷静に対応することが重要です。
無理に追うことでリスクが高まると判断すれば、一時中断する勇気も必要です。

「続けることより、ばれないこと」を優先するのが、プロとしての判断です。

私たちは、依頼者の信頼に応えるためにも、常に冷静で柔軟な対応を心がけています。
その裏には、目に見えない無数の準備と経験があることを、ぜひ知っていただきたいと思います。